王国テレビ 時代写すドキュメンタリー感

あ、なんかひらめいちゃった。

閃いたっつうか、突然あることに合点がいったのだった。

数か月前に、何回かとなりの村を訪ねてドキュメンタリーを作った。

先日掲載された原稿にも書いた通りですが、僕の活動している王国テレビは、かつての王国の版図を訪ねて、古老から話を聞いたり、暮らしを記録したりしようという気運が高い。

ってことで、ある村にいったときに、コーディネーターと一緒に村の診療所を訪ねた。

診療所っていっても、医者はいなくって、看護婦が一人いた。なんか閑古鳥鳴いてるっていう感じで、ベッドもあるんだかないんだか、患者もいないし、ひまーって感じのようす。

看護婦に話を聞いてみたら、

「週に2,3人がマラリアにかかって診療所に来るんですよ」

って言っている。

んなわけねえだろや。

JICAのオリエンテーションで、

「田舎の病院にかかると、全部マラリアって診断するからあてにしてはいけませんよ」と言われたのを思い出して、

ああ、そういうことね。
って思った。

そんで診療所の中は、人っ子一人いないありさまだったので、僕は撮影はしなかったのですね。

帰って、あれやこれやと編集してると、「診療所は撮ったのか」と言われる。

-いや、撮ってない。

 「なんで撮らないんだ!?」

-そんな、なんもないのに、撮るわけないじゃん。

 「映像が足りない」

-だから、事前によく準備しようって言ってんじゃんかあ。

 「うーらら!」

-俺の方こそ、うーらら、だよ。

というので、おなじみのプチバトル。

「ドキュメンタリー」っていうのは現在進行形で今おこっていることで、社会的に意義のあるテーマで物事を伝える番組ってことだと思う。

だから、閑古鳥の鳴いてる「診療所」を撮影する必要はない。
って思った。

だけど、こちらの人たちは「ドキュメンタリー」を

記録フィルムみたいな感じでとらえているみたいだ。

特にテーマがどうとか考えずに、手当たり次第に撮る。

ってことに、ひと月くらいして気が付いてきた。

だけど、もう一つの考え方があることに気が付いた。

ここからが本題ですけど、続けてもいいでしょうか。

たぶんね。
現在進行形で、発展の途中にあるこの国で、そして今まで発展の遅れていた僻地の村落において、「村にも診療所があるんだぜ」っていうことは、誇るべき発展の証しってことで、ぜひ紹介しないといけないトピックだとこちらの人は思ってるんじゃないか、ってことだ。

つい僕は、村に診療所があるってことが当たり前のことだと思ってたし、「なんだかしょぼくれた診療所だなあ」って思ってたのは日本的な視点だったかもしんない。

その後も、いろんなところに取材に行っていると、「やれ新しい公民館ができた」だの、「ここにも診療所ができた」だの、「ライオンズクラブの主催で糖尿病の集団検診がおこなわれた」だの、そういうのが、ものすごく多い。

経済成長のカメルーン全土で、そういうインフラ整備がこの数年で、急速に進んでいるっていうことは中央の新聞を読んでいてもよくわかる。

だから、想像するに、たった数年前まで、この村には診療所なんかなかったんだろう。

それが今では、立派とも言えないけど、どうにかこうにか「この村にも診療所ができましたよ!」ってことが、やっぱり伝えるに値するものだったんだろうな、ということに気が付いたのだった。

そして、もう一つ、やっぱり日本と比較して思うんだけど、各地にあまねく「病院」やら「郵便局」やら「公民館」やら公共的なものが整備されるってのは、爆発的に人口が増えているカメルーンだから、ありなんだってことを思う。

全国各地であまねく、均一に、公共サービスが受けられること。「近代(国家)」ってのは、たぶんそういうことだ。カメルーンは近代化の只中にいる。

日本でも明治から戦争を経て、昭和の後半に、それを達成できた。おめでとう。でも、この先、それを維持していくことはできないんじゃないか、ってのが僕の思いだ。テレビだと、今は知らないけど、お題目として「地方を元気にしよう」っていまだに言う。そこには若干の思考停止のニュアンスが僕には感じられる。それは、これからの日本が持続可能な道なのかどうか。

ちょっと前から、僕にはそれが息苦しかった。ジュ・ブドレ・ビアン(そうしたいのはやまやまだけど。反語。)って、条件法使っちゃうよ。

ここから先の解決編は、不勉強で分からないけど、ゆるやかに、町の機能を集中させて(つまり、ある場所では切り捨てて)、人が住み替えていくってことなんじゃないかって、感じる。地球をとりまく大きな環境の変化と大きな危機に、僕らは適応していかないといけない。環境を僕らの生き方に合わせるのではなく、僕らの生き方を、環境に適応させないといけない。はるか昔からそうだったように。

異文化の価値見つける イモ子のアフリカ旅-とほカメラ

→ カメルーンの生活・文化ーとほカメラ

ああ、なんかいろんな人に怒られそうだけど、ちょっと言ってみた。

カメルーンがこのまま発展していけば、30年後には、おめでとうと言えるだろう。そして、50年後には、今の日本と同じ「先進国病」という病に侵されるだろう。いずれにしても、「人口減少型社会」のモデルを作っていくのが、これからの世界の中の日本の役割だってことは間違いない。たぶんね。

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青年海外協力隊的あるある 1年して絶望で寝込む

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初出:2014年6月21日(土)

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