【青年海外協力隊・カメルーンの旅】モザイク・アフリカ

あー寒い、寒い。

アフリカと言って、油断してはいけません。乾季になってうちの近所は、朝方12℃くらいまで気温が下がるから(2014年2月)、バケツ風呂も、湯冷めに負けない気合いが必要だ。

おれ、すっかり油断して夏服しか持ってきてないから、なんとかせんといかんよ。

カメルーンは、ほぼ赤道直下だけど、わたくしの住んでいるのは標高1000メートルの高原地帯だから、暑いのと寒いのとプラマイなんだろうけど、っていっても、ちょっと寒い方に傾きすぎだろ、っていう思いが募るんだが、何に対して怒りをぶつければいいのかは不明。

ほんと、場所によって、気候はいろいろですね。

なにかと運動不足になるので、夕方に時間があると町を1時間くらい歩く。大通りは車で騒がしいので、裏道をぐるっと回るとだいたい1時間。

散歩してると、町の人からものすごく侮辱的な対応をされるんだけど、まあ今回は別にする。いろいろ試した結果、「顔芸」が一番ウケるということで落ち着いてる。お笑いサークルで鍛えておいてよかった。

1時間歩くと、だいたい15組くらいのグループに声をかけられる。子どもたちはむしろ無邪気で癒されるんだけど、おれ、気になるのは

いい年した若者のグループだ。

男だけ7,8人たむろしてるのもいれば、男女のグループもいる。
いい時間に、働きもせず、ぶらぶらしてる。みんながみんな、ドロップアウトした危ない連中ってのではなく、

その辺のいい若者ってのが、おれは気になっちゃう。

覇気がないっていうか、牙を抜かれたっていうかそんなんですよ。教育もちゃんと受けたんだか、なんなんだか、

「お前ら、ぶらついてないで、なんかやれよ」

って言いたい。けど、たぶん、なんもやらなくても、この人たちは食っていける。熱帯のこの国では、イモもバナナもトウモロコシもあふれていて、食っていける。

アフリカっても一概に言えなくて、この国は、紛争もなければ別に飢餓でもなければ極端な貧困でもない。いいバイクを買ったり、いい靴を買ったりしようとするには別の稼ぎが必要になるんだけど、食ってく分にはここいら辺りは、十分満ち足りている。

年末にゆるっと時間があったので、日本のアフリカ関連のドキュメンタリー番組を
いろいろ見てみた。

2005年の大型シリーズでは、ナレーションで「飢餓と貧困にあえぐアフリカ」
ってまだ言ってる。ところが、2010年になるとキーワードは「アフリカンドリーム」と言う。そしてこの2,3年のトレンドは「潜在能力を秘めた、経済成長著しいアフリカ」だ。

これ、じゅうぶん正しい。どれも本当のことなんだと思うけど、たとえばテレビが
一つの切り口で伝えてしまうと、ざくっとしすぎていて全体が見えなくなっちゃう。たぶんね。「貧困と飢餓」の段階から「著しい経済成長」の段階までが、隣り合わせにごちゃまぜになっているのが、実際のとこだって、半年住んでて思った。

カメルーンで、いま自分が住んでる町はその中間で、「あー、俺たちんとこは平和で、飢餓とも貧困とも無縁だなあ」と若者たちは思いながら、「あー、俺たちも、いっちょ稼いでアイパッド買ってみてえなあ」と若者たちは思いながら、でも食えてるんで、このままでいいかって思ってる町なんだと思う。

食えてる町はがんばらない。

トウモロコシの粉を水で溶いてふかした主食に、肉と野菜をぶっかけて食べる。うまいよ。

アフリカの同期を見てると、たぶん、

そういう場所は結構平均にすると多いんじゃないか

と思う。(逆に言うと、まあ、そういう場所を選んで、協力隊は派遣されてるんじゃん?って誰かが言ってた)

→ 青年海外協力隊 カメルーンでの活動の足跡は

 「青年海外協力隊ーとほカメラ

ちなみに、カメルーンの右隣の中央アフリカ共和国では、イスラム勢力とキリスト教勢力の紛争がおこってるし、カメルーンの北の国境付近では、左隣のナイジェリアから来た武装組織ボコ・ハラムをナイジェリア軍が追いかけ回している。

だけど、うちの近所は毎日イモ食ってぷーですよ。とかく大くくりにすると物事はわかりやすくなるけど、やっぱり事実を細かく積み重ねていかないと全体は見えない。そういうモザイク状の事実が隣り合わせになってるのがここアフリカってとこなんだなと思う。

→ 異文化の価値を見つける アフリカ紀行

 「イモ子のアフリカ旅ーとほカメラ

→ これからカメルーンに行く人向け、生活や文化情報

 「カメルーンの生活・文化ーとほカメラ

路上定食屋のおばちゃん。ガイジンと思って上乗せ値段で言ってくるが、むしろそれが「平等」な関係ではないのか。

初出:2014年2月1日(土)

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