【青年海外協力隊・カメルーンの旅】ドキュメント「青年の日」72時間①

カメルーンでは

2月11日が「青年の日」

ってことで国民の祝日になっている。

この「青年の日」の規模ってのは結構大きなもんで、当日は、全国の幼稚園から大学の全学生たちが、町を行進して歩くっていう国を挙げてのイベントがおこなわれるし、関連行事なんかもたくさんある。

日本の「国民の祝日」とかだと、休みが一日増えたなあ、くらいなもんだけど、この国の「国の祝日」っていうのは、

「国民全体で、すげーがんばる日」

っていうのを意味しているんで、なにげに一味ちがう。そんで、今回の「青年の日」っていうのも国としてはとても力を入れていて、それはなんでかっていうと、この国にとって「若者をどうするか」っていうことがすごく大きな課題なんだからだと思う。

たびたび話題にしてるけど、この国の人口ピラミッドはすごーくきれいなピラミッド型で、年寄りは少ないし、20代くらいの若者は多いし、子どもなんかもっと多い。ってことで、理想的だ。

ところが、町を歩いてると、この国の若者たちは、なんだかブラブラしてるのばっかだし、「どうしたもんかねえ」っていう思いが、ガイジンながらもだんだん高くなってきた。どうなるってもんでもないけど。

この国の若者って、どうしたもんかねえ。

と思いながらこの町で見た「青年の日」までの72時間を今回はレポートします。

■2月9日(月)9時■0時間め■

また今日から新しい週が始まるなあ、会社に行くのやだなあ、と思いながら、若干の2日酔いで遅寝してる。すると、町の中心の方が、またしても騒がしくなってドラムをボコボコたたく音とかトランペットを吹く音が聞こえる。なんかやってるなあ。

やばい。

だいたい遅刻気味の時にかぎって、町でなんかある。

着替えて、町に出てみると、またもや道路が子どもたちで埋めつくされてる。みんなで「行進する」のはあさっての11日じゃないのかね。

■2月9日(月)10時■1時間め■

会社に着くと、なんか普通にしてる。「撮影にいかないの?」っていったら、

行かないって。

じゃあ、俺ちょっと行ってきますわ。

子どもたちが学校ごとに集まっていて、ほぼ道路も埋め尽くされてるんだけど、道路規制もされてなくて車もガンガン走ってる。ちょこちょこ撮影しながら、行進会場に向かう。

そのうちに、急に子どもたちが帰りだすので、おかしいなと思って、今日は何もなさそうだ、ということに気がついて局に帰る。

―ねえねえ今日は行進しないの?

「しない。行進は11日。」

―みんな集まってたけど。

「練習。」

はい。そうですか…。まあ、そうかな、とも思ったけど。にしても2日前に練習するっていうのが、やっぱりしっくりこなくて、どうして前日じゃないのかと。

■2月9日(月)17時■8時間め■

家に帰ってテレビをつけると、国営放送のCRTVで

「高校生クイズ」みたいな特別番組

をやっている。なんかすごい面白い。

その決勝大会の様子ってことで、どこかのドーム会場みたいだ。カメルーンは8割が仏語圏。2割が英語圏。ということに配慮してなのか、決勝に残った高校生の一人は、仏語圏から。もう一人は英語圏から。

司会も2人いる。男性の司会者が、まずフランス語でしゃべる。そのあと、女性の司会者が同じことを英語でしゃべる。その繰り返し。大会に先立ちまして、誰だかエラそうなゲストが変わりばんこに祝辞を述べる。よくわかんないけど、たぶん国の役人ぽい人たちだ。クイズ大会っていっても、エンタテイメントというより、式典みたいだ。

クイズが始まる。問題。

「カメルーンの仏語圏と英語圏が統一されたのは、何年の何月何日でしょうか?」

「カメルーンの下院議員は、何人いるでしょうか?」

「西部州のフンバン市でおこなわれる2年に1度のお祭りをなんと言うでしょうか?」そんな感じ。

正解だったり不正解だったりするけど、もうここまでの感じで、ものすごくたくさんの事がらを理解することができる。たぶんこの「高校生クイズ」も「青年の日」関連の一つなんだろうけど、

多分に政治色が強い、

ってことだ。恥ずかしながら実は自分も、日本の「高校生クイズ」に3年連続出場して、いずれも予選落ちという、どこにでもいる高校生だったけど、それは余談ですが、日本の「高校生クイズ」というのは、「教養を競い合うっていう」文化的エンタテイメントですよね。

だけど、この国の「高校生クイズ」はまだ政治の道具の一つであって、文化にまで高められていない、といえる。

政治が高まって次の段階として文化が来るかどうかは、僕の私的な認識だけども、少なくとも、文化は、政治とは独立してあるものだと思うので、これは「文化イベント」としてのクイズ大会というよりは

「政治イベント」としてのクイズ大会、

っていった方が近い。ちなみに、文化が政治とは独立している、とすると「政治が文化を保護する、育成する」っていうのは若干の矛盾があったりするけど、それも余談。

この国は、政治は、たいへん頑張ってる、ように僕には見える。そんで、クイズ大会の問題の題材を見ても分かる通り、「近代国家カメルーン」っていうことそのものが、国民みんなの心を一つにするための求心的な要素となっている。

だから「若者たちを健全に育てるための教育的ななにか」という枠組みでおこなわれたクイズ大会においても、題材は「近代国家カメルーン関連」からとらざるを得ない。

また日本の話をするとですね。日本人の求心的なものって、多くの場合「文化」だと思いますね。それは木造建築の法隆寺でも、琉球ガラスでも、神社の朱色の鳥居でも、スーパー歌舞伎でも、宮崎駿でも、なんでもいいけど、そういうのが、共通のものとしてある。実は、それを共通のものと感じるようになるまでにはたぶん長い年月がかかったんだろうけど、それについては別の時に書いてみたい。

とにかく、この国では、一歩踏み込んだことを言うと、次に必要なものは、

文化的な統一だと思うんですよね。

250もの民族がそれぞれの文化を持っているということで、個人的な思いとしては、文化的な若干の統廃合とか、世界への発信のしやすさ、わかりやすさ、ということを進めていったらどうかと思う。

エスニティという比較的小さな範囲での文化もよいのですが、それにこだわりすぎていると、これは特に僕の任地にもあてはまることですが、保守的になっちゃって、生きて脈動を打つ文化にはならないような気がしてる。

「青年の日」っていう話で、またすごーく脱線したけど、僕はこの国のこれからの世代の人たちに、そういうことをひそかに期待したい。って思う。

(つづく)

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ドキュメント「青年の日」72時間②

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ドキュメント「青年の日」72時間最終回

(写真=練習の日に練習せず遊ぶガキ。2015年2月9日(月)11時。)

初出:2015年2月12日

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