青年海外協力隊的あるある・1年8ヶ月 旅のゴールが見えてくる

夜から雨が降り始めて少し涼しくなってきた。

季節が変わって、カメルーンで経験する3回目の雨季が始まろうとしている。この国での滞在も1年9ヶ月になって最近だと、自分の番組を作るっっていう自分の仕事をしているので、新しい発見がだんだんと薄れつつある。

結局のところ、人なんてのは滅多に変わるもんじゃないので、ましてや、アフリカのこの環境で、この昔から続いてきた生活習慣に密着した働き方なんかも、変わらない。

まあ、それでいいんじゃないかって思うけど。ある時点から、

「そうか。ここの人は、ここの人でやればいいじゃないか。」

って思って、表面上見えるような協力隊的な「成果」とか「変化」とかは求めないことにした。

そして、自分は自分の仕事をする。

そもそも1本の番組を3ヶ月もかけて作ったり、編集100時間もかけたりするような番組制作は、この土地には合ってない。

俺だって、やだよ。

だけど、まあ自分は、たぶんそれが自分にできる仕事だからやってるだけだ。そういう働き方をこっちの人が見ていて、たぶん

「そうか、日本人はこういう働き方をするんだな」

って思ったと。何が変わるってことでもないけど、そのことが自分がここにいて働いてることの意味だって考える。

俺は、日本のテレビが行き詰っちゃって、もう一度テレビの黎明期にタイムスリップして働いてみたかった。

それは半分は達成されて、

なんとも未成熟でいい加減なテレビ制作現場に来てるけど、あとの半分は、この土地のテレビ制作は、日本みたいにテレビ文化が研ぎ澄まされていくようには、進化していかない。

テレビをまとまった時間で見るだけの集中力がないし、停電がきたり、来客がきたり、大雨が降ったりすると、

そこで集中した時間は終わる。

なんとなく始まり、なんとなく終わる。それってのは、この土地に密着した生活習慣なので、

その分を超えたものを作っても意味がない。

生活習慣に密着したこのテレビ文化はこの先、日本とは違った進化をしていくだろうけど、それはとても面白いことなんじゃないかと思う。

日本でテレビの行き詰まりが顕著になってきたちょうどその頃、「水曜どうでしょう」が出た。初めて見たときは全く面白さが分かんなかったけど、このお化け番組は、20年かけて日本中に浸透して、テレビ(っぽいコンテンツ)の楽しみ方とか制作スタンスが変わるきっかけになった。

そういう体験があるので、なんか、いい加減で適当に作るアフリカ式も、すごい可能性があるんじゃないかって思うのよね。

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協力隊の任期は2年だけど、人によっては任期が1年9ヶ月の人もいる。

FBを見ていると、ちょうど今週は、訓練所の同期生たちが同時多発的に世界中から日本に帰国する準備をしていて感慨深い。

早いもんだ。

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自分の住んでるこの町はとても広いから、1年9ヶ月いるうちに、散歩のコースがどんどん広がっていった。今では新しい道を開拓するのが日々の楽しみで、1日2時間から3時間は歩く。

この小旅行の楽しみは、あえて道に迷ってみるってことだ。

新しいコースに入りこんで迷子になることは、不安だけど、わくわくとする。あまりに深く迷子になりすぎるんでさすがにヤバめだろうってこともよくある。

陽もだんだん暮れてくる。

まあ、その頃合いでもって方向転換して、だいたいの方角を頼りに、リカバリーする方向の道に戻る。ほどなくすると、自分の知っている道に出る。

その時、自分の小旅行は終わる。

この国に来てから、だいたい1年くらい、自分は深い迷子になって、毎日泣きべそをかいていた。

たぶんどこかの地点でリカバリーする方向に戻り始め、今では、はっきりと自分の知ってる道に戻ることができた。自分の知っている道は安心できるけれど、その時、旅の面白さは、すでに終わっている。

自分の知っている道に出たときに、旅は終わる。

家に帰るまでが遠足なんかじゃない。学校に帰ってきたときには、すでに遠足は終わっている。この2年間を小さな旅だとすると、

自分の旅は、もう終わりに近づいている。

岬めぐりの旅が、まもなく終わる。

ドキュメント「青年の日」72時間 最終回

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協力隊 町の女コジキに会って金をやる

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協力隊の体験を小学生に説明する

*初出:2018年3月20日(金)

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