青年海外協力隊の体験談を小学生に説明する

JICAの青年海外協力隊に参加して、アフリカのカメルーンという国で2年間働いていた小野といいます。僕がどうして、JICAに参加して海外に行こうと思ったのかお話します。

僕は小学生のころ、あまりスポーツが得意ではありませんでした。だから外で遊ぶことよりも家の中でゲームをしている方が好きでした。その時にはやっていたゲームは「ドラゴンクエスト」というロールプレイングゲームです。勇者が敵を倒して強くなって、ドラゴンを倒したりしながら次から次へと違う町へ進み、やがて魔王を倒すのです。そんな冒険が好きな男子でした。

ある時、クラスの友達が学校の近くの川に行って「ザリガニをとろうぜ!」とさそってくれました。僕は行きたかったけれど、お母さんが「そんな汚い川に入って怪我したら大変だから、行ってはいけません」と止めました。

僕はザリガニをとりに行きたかったので、行けなくてすごく悔しい思いをしました。ゲームの中では勇者になって、すごい冒険をしているのに、現実の世界ではザリガニをとりに川に入ることもできない子どもだったのです。その悔しさは、大人になってからも、ずーっと残っていきました。

大人になって会社に入ってサラリーマンになりました。仕事は忙しくて子どものころみたいに一か月夏休みがとれたりできません。でも1年間に1週間だけ連続して休みを取ることができます。子どものころから冒険が好きだった僕は、毎年休みを利用して海外旅行に行くことにしました。しかも、たいてい行くのは「発展途上国」です。世界中には日本やアメリカやヨーロッパのような「先進国」と、農業を中心にして暮らしている「発展途上国」があります。「先進国」は映画やドラマでもよく見るし、生活の仕方は日本とあまり違いはありません。

それに比べて「発展途上国」は本で読んだり、たまにバラエティ番組でもやっていますが、家がボロかったり、お祭りでもないのに道端で魚を焼いて立ち食いしていたり、道がコンクリートになっていないので車が走るとでこぼこしていたりして、「先進国」とはずいぶん暮らし方が違うみたいだということを知るようになりました。そして、それが「面白そうだな」と思ったのです。

子どものころに「川に入ってザリガニをとる」ことは汚いからダメだ、とお母さんから言われていました。でも今度は、大人になって自分で決めることができます。「発展途上国」に行くことは汚かったり、怪我したりするかもしれないけど、それよりも自分にとっては「冒険して、知らない町に行ってみたい、見てみ
たい」という気もちの方が強くなっていたのです。

最初は、そのように海外旅行で1週間くらい行くだけでしたが、それだとせっかく友だちができてもすぐ別れてしまうし、もう少し長く住んでみたいなと思うようになりました。そこで、海外で仕事をする方法を調べてみると、JICAで働けば2年間海外で仕事をしながら住むことができると、書いてありました。仕事の内容はいろいろですが、面白いのは「日本人が外国の人よりも得意なことを教えてあげる」仕事であることです。

たとえば、日本人はお米を毎日食べるので、お米の栽培の仕方は世界中のどこの国よりもプロフェッショナルです。今JICAではアフリカでお米を新しく栽培しようという取り組みがJICAの計画で進められています。お米は、ふつう水田で育てます。たくさんの水が必要ですが、最近新たにアフリカのような雨の少ないところでも育つイネが開発されました。それをアフリカのさまざまな国で栽培のやり方を教えているのがJICAです。日本人が、遠くのアフリカの国でお米の育て方を教えています。そういうことを知った時に、「これは面白いなあ、自分もアフリカに行って、役に立つことを教えられるといいなあ」と思いました。
それが、自分がJICAに参加した理由です。

僕は、実は職業はテレビ局につとめていて、テレビ番組を作る仕事をしています。アフリカでもテレビはたくさんの家庭に普及していて、意外にたくさんの人が見ています。なので、アフリカのテレビ局の人に、番組の作り方を教えたら喜んでもらえるのかな、と思いました。そして2年間働いて、去年の7月に日本に帰ってきました。

みなさんも、将来大人になっていろいろな職業につくと思いますが、その選択の一つとして、「海外で働く」ことを選ぶのも、そんなに難しいことではありません。特に難しいテストもありません。自分が「行ってみたいなあ」と思えば、それだけでいいのです。「川にザリガニをとりに行く」ことを、「汚れるからいやだなあ」と思ったら行かなければしいし、「それでも行ってみたいなあ」と思えば行けばいいのです。

 

僕は子どものころにとることのできなかったザリガニをアフリカでとることができたので、僕にとってとても楽しい経験だったんですよ。

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*初出:2016年3月22日

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