青年海外協力隊的あるある・最終回 すべてわけわかる

最後の1週間は首都に滞在して、いろんな機関をご挨拶で訪問したりしている。

なので、地方のわが家でにんじんを生噛りしながらのんびり暮らしていた時から比べると、ずいぶん忙しい。

っていうか、もうすでに日本だ。

2年前に比べて、首都のようすはずいぶん変わった。隊員連絡所から大通りに出るところには、路上定食屋が繁盛するようになって、種類豊富なカメルーン料理がなんでも食えるし、近所を歩いていても、日本語で「こんばんは。」とか声かけられるようになった。

2年前には

「おぅおぅおぅ」としか言われなかった。

なので、「お元気ですか?」「元気です。」というフレーズを教えたりしている。ワイルドタクシーが歩道をぶっ飛ばし走る光景も、それほど見られなくなったし、2年前に建設中だった建物が、ちゃっかり完成してたりする。

すごいじゃん。

このように大都市は、先進国から見ても自然な理屈で運営されるようにちゃくちゃくと変わり、すでに「日本」と「アフリカの大都市」の差は俺は、そんなに感じてない。

首都を歩きながら考え事をしていると、一瞬、いま世界のどこを歩いているのか分からなくなる。むしろアフリカでは、というかどこの途上国でもそうかもしんないけど、「大都市」と「地方都市、または村落」との差の方がでかい。

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2年前、日本から、まずこの国カメルーンの首都に来た時のギャップがどのくらいだったか。「日本を1とする」と「首都はFくらい」だ。

日本が1で、首都が10だったら、10倍くらい違うのかな、って感じだけど、それを飛び越えて、

F倍違うって感じだった。

なにそれ。でもそんな感じ。ところが、さらに任地の地方都市に行くと、さらにF倍となり、日本が1に対して、地方都市はFFであることが分かった。

●まとめ●

   日本=1

   首都=F

 地方都市=FF

来たときは、1からFになり、さらにFFになって大きな混乱をしたけど、今回帰国がせまって、FFからFになった時点で「こりゃあ、まもなく1になるなあ」と思ってる。

深い意味はないけど、最近「すべてがFになる」っていう小説を読んで、この秋からノイタミナでアニメ化になるからずいぶん面白そうだ。という思いも込めて言ってみた。

すでに頭の中が日本だ。

なにが言いたいかというと、アフリカの大都市は、どうやらガンガンと発展して変わっていき、「アフリカ地方の町である」という特殊性よりも「都市である」という一般的な側面の方が目につく。

およそ「都市」におこる、だいたいのことが起こっているし、この先も「もっと発展した都市」におこりがちな、だいたいのことが起こるであろう。

そんなことで、分かりやすくなってる。

それに対して、地方都市や村落は、まだまだ昔の風習とかが残っているし、そんなに変わらない。そういう都市と地方の差は広がっていく。

俺、いますごく当たり前なことを言っちゃったけど、別にカメルーンに来なくても分かる結論に、2年間ぐるーっと回って、もどってきた。

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日本に帰ったら、何をしようかな。

たとえば2年3年人と会っていなくても、もはやいつでも誰とでもつながっているような気がして、もう別に会わなくても大丈夫だろう、という気もするけど、そんな風に、人のつながりを長ーい時間軸でとらえるようになったのもアフリカ感覚のおかげかね。

局の同僚でも、突然ふっつり来なくなる奴とかがいて、「最近あいつ来ないなー」みたいに言うんだけど、ただそれだけで、そして、また突然ふっつりと現われて平気な顔して働いてたりする。

人と人とのつながりは、連絡を取り合っているとか、目に見えることだけでなくて、なにかの見えないところでも、たぶんつながっているんだろう。

日本に帰ったら、清澄白河のアパートに帰らないと。

たぶん母さんは羽田に迎えに来るっていうけど、朝6時に来られても困るから、家で待っててよって言う。たぶん家に帰ると、母さんは親子丼を作っていると思う。なにかがあると、うちはいつでも親子丼になる。

鶏肉が、固い。

俺が思うに、肉に火を通しすぎるから固くなるんで、ちょっと早めに火を止めて余熱を使いなさいよ、って言うんだけど、一向に変わらない、今回も肉の固い親子丼がでてくるだろう。カメルーンの鶏肉はよく肉が締まっていて、うまかったなあ、なんて話をする。

「また旅にでようかな」とか言うと、母さんは嫌がるね。だけど「ここではないどこかへ行きたい症候群」なので、もう仕方がない。

親子丼を食い終わったら、俺はまたどこかに行く。

飛行機が空港に着くのは朝の6時くらいだから、東京湾には朝陽が反射して、水面がキラキラときらびやかに美しいんじゃないかな。

飛行機は、朝の光の中を降りていく。そしたら素敵だな。ま、曇ってないといいけどね。

じゃあ帰ります。

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2年間続けてきましたカメルーン体験レポートをこれで終わります。日本ではツイッタ―を使おうかな。

今までお読みいただき、ありがとうございました。

(写真=幼稚園での先輩隊員の活動を見学した時のようす)

*初出:2015年6月28日(日)

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