読売新聞山梨版「協力隊だより」1年目の手記

読売新聞山梨版(7月5日)に原稿が掲載されました。

粛々と書いてみました。

「協力隊だより」

 僕は今、中央アフリカに位置するカメルーンの、地方都市のテレビ局にいます。

 日本では、テレビ局のディレクターとして情報番組などを制作してきました。その経験を活かして、配属テレビ局の番組制作能力の向上のため活動しています。

 カメルーンは今、近代化のまっただ中にあります。国道が整備されたり、大きな橋が作られたり、タクシーやバイクが町にあふれ、国中が活気に満ちています。日本の高度経済成長の時代もこんな雰囲気だったのかな、と想像しています。

 テレビ局で活動していると、町も人も、二つの違った価値観の中を行ったり来たりしていることに気づきます。それは、「伝統」と「近代化」です。町の人たちは、携帯電話も持っているしインターネットも使っています。早く近代化したい憧れが強いのですが、一方で伝統的なのんびりした暮らし方から離れられず、外から来たよそ者と交わることを嫌います。

 この一年間、僕は伝統的な生活にシンパシーを感じてそれを尊重する番組作りをサポートしてきました。伝統的な生活スタイルは人のつながりを大切にする良い面もありますが、一方で、がんばって働かなくても食べていけたり、計画性がなく時間を守らないなどのマイナスの面もあります。そのために近代化は遅れ、失業者が減らないことや、犯罪がなくならないことにもつながります。

 何が良いのか迷いだすと答えは出ませんが、残りの任期では、他の日本人隊員がカメルーンの人たちの生活向上のために活動している様子を番組にして紹介し、近代化のあり方や日本のことを知るきっかけにしてほしいと思っています。

(小野洋文 おのひろふみ・甲府市出身・39歳)

*初出:2014年7月18日(金)

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