いてて。
全身筋肉痛。あらゆるところが痛いよー。ってのは、週末に首都で送別会及びスポーツ大会に参加したから。アフリカの大地ってのは、必ずしもサバンナが広がってるのではなく、人の住むところは人口爆発によって、おびただしい人と、バイクと、自動車と、騒音に囲まれている。だもんで、
運動する広場もなく、運動不足で体がなまって仕方がない。
こんなんじゃ帰国してから槍ヶ岳に登れんのか?
ということで、せいぜい町を1周1時間でウォーキングする。
町を歩くと、
若者グループから散々に侮辱される。
ってことは前にも書いた。
「あ!ガイジンだ!」って指をさされる。
「あ!白人だ!白人!白人!」って揶揄される。
「あ!中国人だ!アチョーアチョー!」ってカンフーの真似。
そして、犬を呼ぶみたいな汚い言葉を投げかけられる。
もうね。
仕方ないんですよ。
30年前の山梨の田舎の小学生は、黒人を見たら「あ、黒人だ!」って言ったし、「あ、ブッシュマンだ!」って言ったし、「今日は槍もってないのかよー」ってののしったろう。
20年前の山梨の田舎の高校生は、カナダから来た英語のネイティブの先生が日本語の発音を間違えるたびに、「こいつ、しゃべれねえのかよー」って嘲笑したろう。山梨が田舎だったように、
国際社会での日本は、十分田舎で辺境だった。
そんな辺境で、グッドモーニングのウィッキーさんとか、いっこんにこんサンコンさんは、頑張った。かつて日本という辺境に来たアフリカエリートの開拓者たちは、もっと想像を絶する差別や侮辱に耐えて頑張ったんだろうと思う。
そのことを思って、僕は我慢する。
肌の色で人間を差別することを憎んだマンデラ氏をどう思うのか、と問いたい。
だから去年マンデラ氏が亡くなった時に、何人かの人たちに質問した。ある人は、「アフリカの歴史だ」って答えた。
分かんない。
レスペクトしてるとか、関心がないのとか、あるでしょう。って聞く。やっぱり「アフリカの歴史だ」としか言わなかった。またある人は、「君はどう思うのか?」という質問返しっていう反則技を使われて、もごもごしてるうちに、話がうやむやになった。
これらのことから、教育を受けた人たちは「かつて、先祖たちが、人種差別を受けたことは、負の歴史だ」と思い、なるべく語りたくないのだ、という感触を得た。
「そしていま、この土地の人が、逆に白人を差別することを、負の歴史の繰り返しとして、恥じているのだ」という感触も得た。
この土地の、教育を受けていない人たちにとっては、ガイジンは「自分とは全く関係のない存在」に見える。前にも書いたけど、食料に恵まれているこの土地では、目に見える範囲での自給自足ができているので、ガイジンが、どのように自分の生活に関わるのかをイメージすることが難しい。
目に見えないこと。それが、差別意識になる。だから、僕は、町中に、このなまっちろい肌を見せて、この世の中に白人っていうガイジンが存在するんだってことを、この町の子どもたちに見せてやりたい。
なるべくたくさんの子どもたちに、この白い肌を見せたい。
笑顔で。
顔芸で。
カンフーの真似をして。
それが、この町の子どもたちにとっての、「ガイジンとのファーストコンタクト」になる。
いま「子どもたち」って書いたのは、教育を受けないままある程度成長した若者以上を、僕は、ターゲットから外したからだ。
偏っているかもしれないけど、
それは僕の選択した「戦術」です。
僕らが国際ボランティアとしてこの辺境で活動している大きな目的の一つは、日本という国を知ってもらうことだ。もちろんこの国の発展に寄与するっていう本来的な目的もある。
いずれにしても、「この世界はすでに一つになってしまったので、 ガイジンと接することは、もう日常生活に切り離せないものになりますよ。」ってことを土地の人に感じてもらうことは、この国の発展に欠かせないものだって思う。
日本とカメルーンとの間に、10年後に橋がかかるために、僕らは、海の底の捨て石になって、日々を過ごす。
なるべく窒息しないように、たまには首都でスポーツ大会をやって、筋肉に酸素を取り入れながら、日々を過ごす。
そうこう毎日町を散歩しているうちに、「あ!中国人だ!」率が減ってきて、「あ!日本人だ!」率が増えてきた。そして、目に見えて、好意的なコミュニケーションが増えてきている
って感じる。
まるで、オセロの黒がパタパタと白に変わっていくように。サ・イ・エ(きてる・か・も)
たとえばオセロの黒は白にもなるけれど、黒人は白人にはならない。オセロの盤面では、黒と白とが争うけれど、この世の中っていう盤面では、黒と白とが陣地取りをする必要はない。ただ、黒と白っていう2つの色があるんだなってことを知れば、それでいい。
→ 異文化の価値を見つける アフリカ紀行
「イモ子のアフリカ旅ーとほカメラ」
→ これからカメルーンに行く人向け、生活や文化情報
「カメルーンの生活・文化ーとほカメラ」
*初出:2014年3月19日