【青年海外協力隊・カメルーンの旅】町のドロボウがつかまった

乾季もたけなわのカメルーンです。

毎日暑くて、毎日が夏休みみたいでうれしい、日本はもうぼちぼち寒いでしょう。

最近の活動といえば、目立ったことはありませんがこちらの人たちが毎日出力40%くらいで働いているのに適応してきて、自分も出力40%くらいで働くことにすると、だんだんストレスが減ってきた。

いいことなのか、悪いことなのか。たぶん両方。

今日も朝からやることがないので、日の当たるところにイスを出して、鼻くそほじりながら新聞を隅から隅まで読んでしまうほど、すっかり窓際族だ。

そんな昼下がり。
ふだん街をうろうろしてネタを集めている局長が帰ってきて、「街のドロボウが捕まったぞ!」という。

なんかデジャヴュな、この展開。

「カメラ撮ってきたからはやくつなげ」と言われてニュース編集をする。
カメラっつっても、デジカメについてる動画機能で撮影したものだから、視聴者投稿映像みたいなもんだ。

局長がどんな経緯の人かよくは知らないけど、映像出身の人でもないみたいで、ほんとに投稿映像みたいでやたらとガクガクと、長回ししてる。
全部パソコンに取り込むと重くなるから選んでると、「全部、全部!」っていう。

「だって、これ局長の足しか映ってないッスよー」なんてやりとりもありーで、結局3分くらいのニュースになる。

顛末としては、バイクを盗もうとした男が周りの人に取り押さえられたと。

うわーっとみんなが熱狂して、通りが群衆であふれて車が通れないほどになる。

そのうち役人の車が到着し(なぜか警察ではない)、犯人と目される男が車で連行されるところを、群衆が車のバンパーをつかんで持ち上げ、わっしょいわっしょいって揺らすっていう話だ。

映像だけ見てると、もうまるで、どこかの紛争がおこってる国みたいなんだけど、実は群衆たちは、本気で怒ってるわけでもなく、お祭り騒ぎに便乗して一瞬だけ盛り上がってるだけってのにも見える。

この間の選挙の時もそうだった。

実際、編集が終わって、1時間後の現場に行ってみたけど、街は、どこ吹く風の平穏そのものだった。

よくテレビでは、興奮と熱狂に包まれた世界のどこかの映像をよく見かけるけど、ほんとうは、出来事がどのくらい深刻なのかは、実は映像だけでは分からない、ってのもある。
映像は嘘をつく。

いま自分の中で流行ってる江戸換算だと、「火事とケンカは江戸の華」ってのが、今日の出来事だ。
ぱっと盛り上がり、ぱっと消える。

これも天下泰平のあかし。


(写真=イスラーム暦では今月は巡礼月。マッカに巡礼を
遂げた人はエル・ハッジ<ミスター巡礼>と呼ばれ、
住民たちから尊敬され、祝福を受ける。)

 

*初出:2013年11月6日(水)(カメルーン滞在128日目)

 

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