メーデー。
ってのが日本で休日だったかどうか、無職歴も2年経つと忘れてしまった。
カメルーンでも「勤労の日(労働者の日)」ってことでお休みです。まあ、毎度のことながらテレビ局は休日も働いてます。そんで、前にも書いたように「だれだれの日」って休日は、必ずその誰かが「行進する」っていう公式行事がもれなくついてくる。今回は労働者の日なので、私どもテレビ局員もおそろいの服を作って行進した。
それぞれの会社が自分たちの職業に関連するものを手に持って行進したりするので、なんだか仮装行列みたいでなかなか笑える。たとえば病院の職員だと、車輪付きのベッドに患者(に見立てた人)が寝ていて点滴している状態でゴロゴロ運んで行進するとか、なんじゃそれ的な。
綾波レイかよと。
んで、うちらは局の使ってないモニターやら三脚やら、ごちゃごちゃ持ってきてみんなで手に持つ。アイテムが足りないので、とりあえずキーボードを持たされてる人もいる。いや、テレビにキーボードは関係ないけどね。そんな中でも、一人は式典全体の撮影を担当して、午後からはわたくしが編集して、当日の夜に放送には出た。
朝ちょっと早めに会場に行って、いろいろ観察してると、
あらためてこの町の「人の層」
ってのがわかって面白かった。カメルーンには、あんまり民間の企業が多くない。産業はわりかし国主導でやってるみたいだし、今日参加していた企業も30くらいで、自分もほとんど知ってる会社だった。
企業に属してないほかの人はどう働いてるのかっていうと、たぶんなんもしてないか、ス・デブルイエ(se débrouiller)と言って露店業とか自営業でタクシーをやったりしてる。この「人の層」によって、ほんとうに人のタイプの違うことといったら。
人口の多い順にまとめてみます。
■ガキ。
とにかくこの町にはウヨウヨといる。今日は学校が休みだからか、みんなクッキーとかジュースとかの物売りに来てる。
ヒマで遊びに来てるガキもいる。最近はガキと遊ぶのが大変楽しい私としては、追いかけたり、顔芸で笑わせたりして、友好的なコミュニケーションをする。
カメルーンの将来をになう人たちだ。
■ブラブラしてる若者。
この層が意外に多い。普段から脳のニューロンに電気信号を通わせない生活をしているうちに20代になってしまった風な、何も考えてない人たちで、大変たちが悪い。今日も何もすることがなく、人が行進するのを見に来た。この
一番働くべき年代の人たちが働かなくっても国が回ってる
んだから、カメルーンは懐が深いよねえ。今も将来も、になっていない。
■企業で働いてる人。
30代、40代中心。若い人もいる。わりかし紳士的。俺みたいなガイジンに対しては、とりあえずヴ(丁寧語)を使ったりする。やっぱり、人との接し方ができているので比較的安心できる。カメルーンの今をになっている。
■年寄り。
かつての「王国」っていうヒエラルキーの中ではわりかし偉い立場だったけど、明治維新が起きてしまったので今では、エラそうな民族服を来てエラそうにふんぞりかえって歩いて昼間からビールを飲んでるっていう層。やたらと威張ってるけど、ガイジンに対してはシャイな人たち。昔のカメルーンを十分になったので、ゆっくり隠居してほしい。
今日は、こういう層ごとが固まっているのを見ることができたので、普段なにげに見すごしてることをちょっと整理できて面白かった。
これ、あらためて見ると、人口の多い順=年齢の若い順になっていて、ぐぐっと綺麗なピラミッド型の人口構成になってることがわかる。年寄りの比率が少ないし、子どもの比率はきわめて多いし、若者はちょっと残念な人が多いけど、こういうのを見るにつけ、本当に
この国はこれから日の出を迎えるんだなあ
ってのが、肌で感じられて、感慨深い一日だったな。
関係ないけど、2日くらい前に、フランス語版の「エヴァ劇場版1」を入手したので、括目して見てます。音声ファイルに落としてすでに8回くらいリピートしてる。シンジ君おなじみのセリフの「逃げちゃダメだ!」ってのを辞書引いたら、
「逃げ出す」ってのと「行進する」ってのと同じ動詞だってことが分かってなんか偶然だけど、これも面白い。
*正確には代名動詞でse défiler が「逃げ出す」の意。シンジ君は「Ne te défile pas!」と言っている。me じゃなくてte なのが興味深いな。
初出:2014年5月1日