■喉元を過ぎれば熱さを忘れる■
2度目のカメルーン行きを決めたのは、大学院1年生の7月ごろだった。
ちょうど協力隊から帰ってきたのが前の年の7月1日だったので、あれから丸々1年経ったことになる。帰ってきたときには、「もう2度とこんなところに来るもんか、やーい。」と、お尻をペンペンしながら現地を出国してきたものだった。
「海外協力隊」は、現地に2年間という、比較的長い間住むだけあって、愛憎うずまく、というか、よい感情を抱くにしてもマイナスにしてもその感情の振れる度合いが大きい。とりわけ、われわれカメルーン隊は、そっちの後者の振れ幅の方が大変大きかった。
何でかっていうと、一言で言えば「人」。人ですね。まあ、何にでも当てはまることが、ここにも当てはまる。
どんな人柄かというと、雑。コミュニケーションの取り方とか、非常に雑で、ぐいぐい来る。だから日本なんて繊細な国から来て、紳士然として乙をすまして歩いていると、あっという間に取り囲まれて「ヘイヘーイ、そこの中国人、かかってこいよアチョーアチョー。金くれよ。」と言われ、何か言い返そうとすると、人の話は全然聞かなくて、一方的に罵倒されて、ようやく振り切って逃げてくる、という体験をすることになる。これは町を歩いて平均的な出来事か、どちらかというとライトな方だと言っておかねばなるまい。
人によっては暴力的な人がいて、握手を求められて手を握ると、その腕をねじりあげられ「イテテ、すいません」みたいに屈辱的に謝らせられるとか(いじめられっ子のようだ)、女子隊員に聞くところによると、腕をぎゅっとつかまれたり髪の毛を触られたりして、怖い思いをしょっちゅうするのだということだ。
怖い。怖いでしゅ。タラちゃんでしゅ。まあカメルーンという国は、日本人からすると、そういう体験をする国だといって過言ではない。
(次回に続く)