再訪・カメルーン②

■■体が小さくてひ弱な日本人■

じゃあカメルーン人から「金くれよ」と言われて、彼らが本当に金が欲しいかというと、実はそうではない。ただ単に軽口で肌の生白い東洋人をからかっているだけであって、本気で金を強奪したいと思っているわけではない。

だから、どこか他の外国の都市部によくある“犯罪多発危険地域”みたいなものとは位相が違う。

本気で金を盗るやつは相手の注意を引くようなことをせず、相手に接触するまで平然とした顔をしており、すれ違い様にすっと盗る。そういう犯罪は多いには多いし、自分個人の経験でも、通算で未遂も含めて4回あるけど、それは犯罪だから別の話だ。犯罪あれこれについては、言い出したら長くなるので稿をあらためて書くと思う。

カメルーンの場合は、町のごく一般の人が東洋人に対して、さきほど述べたような雑なコミュニケーションを取ってくる。

その構造的な原因はなんだ、と。それが2年住んでるうちに、割と分かった。カメルーンの人たちは、体も大きい人が多いし、声も重低音でよく響いて大きな声が出る。強そうだ。それに比べて、日本ふくめて東洋の人は華奢な体格で、声も高くてふにゃふにゃ喋る。

これって純粋に、カメルーンの人たちは我々を見たとき「まあ、なんて小さくて肌が青白くて、ぴちゃぴちゃ喋るやつなんだろう」という風に、そんなことは言わないけども。そう見えてるんじゃないかと思える、根底にはね。たぶん自分だったらそう思ってしまう。

それ以外にも当然いろんな解釈があるけれど、自然な「体感覚」ていうのを軽視するとダメで、そういうのが意外に深く人の心を規定してしまったり、判断を無意識のうちに決めてしまったりするんじゃないかと、思ったりする。

余談だけど、中学校の時、どこにもあるようにイジメがあるわけだけども、とりわけ体の小さいやつがイジメられていたなあというのをよく憶えている。体の大きいイジメっ子「たち」が集団で、体の小さいやつをからかったり、プロレス技をかけたりしていじめている。そんな風景が頭の中にはっきりとした映像として残って、これまでの人生の中で何度も繰り返し再生されているのだった。あのときは、「それはおかしいぞ、やめたらどうだ」と正義感に思っても、言えなかった。言えなかったんだよなあ。(つづく)

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